作品解説と銘打ったものの、特に解説になるような内容ではない。どちらかと言えば、作品に関する覚え書き、あるいは一言。
「執着のかたちは」
「飴のかたちをしている」
原題「執着のかたち」「恋心のかたち」。
ツイッターに初めて投稿した話と、それから一ヶ月後に投稿した話。今回のSS集を作るにあたり、ただ「SS集」ではなく、ちゃんとしたタイトルをつけようと考えていた。その時に思い浮かんだのがこの二つの、飴玉にまつわる話。SSという形式もまた、飴のように小さなものなので、飴玉を集めるような作品集。あめだまあつめ。自動的に、最初の話と最後の話という並び順が出来た。
収録するにあたってタイトルも変更。ツイッターで飴の話を最初に投稿したのはただの偶然なのだが、まるでこのSS集を作るために投稿したかのようで、我がことながら面白い。
ところで、「あめだまあつめ」って「ねこあつめ」に似ている。
「冬の朝」
ツイッター未公開作品。2016年10月に初めて書いた膝さに。この時点で既に膝丸は朝と寒さに弱いという設定が出来ていた。
この審神者については男女どちらでも良いと思いながら書いていた。恋愛関係とまでは行かずとも、寝起きに見せる油断、甘え、隙、そういうものが許される関係性が好き。
「ラムネの顔」
(><)
大元は、膝丸ってウインク出来なさそう、という発想だったと思う。それがこうなった。
「源氏かわいい」という感想を多くもらい、自分の書く源氏は可愛い系なのか、と知った話でもある。この初期刀とはむっちゃんのことです。
「純情の亡骸」
加筆修正した印象が強い。煙草を吸う膝丸が見たかった。口寂しさの理由を自覚しているおとこの話。
「くちびるだけが熱かった」
寒いというのは事実そうだけど、それ以上に抱きつく口実の意味合いが強い。ツイッター開設してわりとすぐだというのに、反応がたくさんきてものすごく焦った記憶がある。こんなに反応いただくと思っていなくて、慣れるまで三週間くらい胃痛が続いた。
「わたしの色彩」
膝丸の外見がとにかく好きだという気持ちを表現したかった。とにかく好き。なんかよく分からないけど好き。もっとねっとりと外見描写を入れたかった気がする。
「癖」
膝丸の男性らしさの中に女性的なしなやかさが混じったら最高に色っぽいのではないだろうか。
「さびしいもの」
「うつろうもの」
刀剣男士達は、感情の名前を知っていても、それが人体においてどのような感覚として表れるのか分からないことがありそう。悩みが一つ解消すればまた新たな悩みが発生する図でもある。兄と再会してもこの戦いが終わればまた離れ離れになる。それだって存在してさえいれば再び会える希望はあるが、審神者との別れはその希望もない。
「花咲く刀」
誉の桜について書いたことがなかったな、と。嬉しい時にもぶわっと舞いそう。もちろん、戦場の高揚で桜をまき散らしながら敵を斬り捨てても良い。
なお、最後の台詞は元祖レア4。
「無自覚の塊」
自分の感情に気付かないネタが好きです。多分、これからも何度でも書きます。なんならネタはまだまだあるぞ。
「欲と衝動」
「欲と愉悦」
ちょいエロが書きたかった。我慢した末に爆発したのでも良いし、まったく別の本丸で起こった話でも良い。
何とは言わないが、膝丸はなんとなく事を急いて進めそうなイメージがあるのだが、ここではあえてまったり進行で焦らせる作戦。
「いずれ咲く花」
加筆修正した印象が強い。新しい梅の景趣に合わせて書いたはずが、結局この枝は梅なのか、否か。妖しく、余裕のある姿が書きたかった。あるいは咲くのは花ではないかもしれない。
「鉄のいろ」
本当は「冬の朝」の後に置く予定だったのに、審神者の仕草が被ってしまってここに入った。それはそれとして、酔っ払いネタも好きですねえ……。
当時のツイートを見ると、だいたい30分程度で書き上げた模様。当時、最後の文章に手こずったし、加筆する時も手こずった。
「けものの餌食」
爪はやすりがけまできちんとしましょう。
情事の前のこういう一場面が結構好き。
「背中に刺青」
なんとなく前の話との関連で並べてみた。焦ると忘れ物が多くなりそうだと勝手に思っている。
「君の声を待っている」
黒電話を持つ膝丸が脳裏から離れないという話をわかさん(@Owaka93)がイラストにしてくださり、それを元に書いた話。大変ありがたい。家宝。
なお、黒電話を持つ膝丸の元ネタは「いまわし電話」という曲。2018年に、20年以上ぶりにライブ演奏されたのが忘れられずこんな妄想にまで発展してしまった。
(リンク先は非公式にアップロードされた音源ですのでご注意ください)
「翡翠の男」
「琥珀の瞳」
「翡翠の男」は2017年に書いた話なので、微妙に文体が違う。これを書いていたら、翡翠と琥珀を使ったアクセサリーが欲しくなった。こうなったら作るしかない。
膝丸はこういう色恋沙汰には野暮というか、朴念仁というか、そういうイメージがある。言葉にされなければ分からないおとこ。審神者からしてみればその鈍感さが憎らしい。
「初恋」
タイトルがなかなか決まらなかった。どちらにとっての初恋なのか。
初々しいのも好きだが、計画的にこういう頼みをしてくる計算高い膝丸もいずれ書きたい。
「絵空事の夜」
聴いていた曲に「絵空事」という歌詞が出てきたのがちょっと気になったので、辞書で意味を調べて、「刀さににおける絵空事とは何だろう」と考えた結果、出来た話。刀と人の間には子どもは出来ない、という解釈をしている。
なお、この時聞いていた曲というのが「スカイデアンナイト」。聞いている曲と書いている話があまり連動しないタイプなので、こういう事故がよく起きる。笑ってください。話とまったく関係が無いけど、この動画に出てくる天使が二、三匹欲しい。
「※酔ってます」
「※酔ってません」
なんとなく書いたら予想外に反響があった話。まさかここまで反応がくると思わなくて心底驚いた。刀剣男士の本能は刀としての本能なのか、人体としての本能なのか、ちょっと気になる。
「耽溺」
ツイッター開設から一ヶ月の間は直接的なキスの描写はしないように(一ヶ月の締めになる「飴のかたちをしている」で初めてキスさせたかった)と決めていて、その一ヶ月が過ぎたので意気揚々と書いた話。ようするに、キスをさせたかった。もうちょっと濃厚に書きたいがエロ系の語彙がない。
「ものの寵愛」
ギャグです。一番最後は笑ってください。
「その本性は獣」
タイトルの元ネタは「獣ゆく細道」。刀の本能に抗えない姿を一度くらい見てみたい。いややっぱり怖いからやだ。
「二度目の夜明けに」
原題「爪痕」。一番加筆修正した。元々が診断メーカーの診断結果で、最初と最後の一文の指定があったので、とにかく苦しんで書いた。ツイート二つに分割するくらいの長さになったのに全然上手く書けず悔しい思いをした。と言う訳で、収録にあたり一番時間をかけて加筆した。結果はご覧の通りです。もっと精進します。
進捗ノートを見ていただくと分かりますが、一番最後に修正したのがこの話です。旅行帰りの新幹線の中でずっとこれを書いていた。
「夜明けをもう一度」
原題「夜明けを待っている」。上の話とは全く関係が無かったのに、加筆修正している内に、もしかしてこの二つ、繋げられるのでは? と思いついてしまったため、こうなった。一夜限りの関係って燃えませんか。私は燃える。
「脱がせる楽しみがあるので」
タイトルがすべて。下心ありあり。
「あとにはなにものこらない」
この戦いが終わった時、審神者は刀剣男士も彼らが残していったものも何もかも元の日常に持って帰ることが出来ないとすれば、彼らが残せるのは傷跡だけだな、と気付いて鬱々とし、その気分のままに書いた。
後には何も残らない。痕には何も残らない。
「皐月の風と熱」
原題「その熱を知る」。タイトルに悩み結局普通にこんな感じになった。当然のごとく、膝丸は審神者の寝たふりには気付いていないのだろう。
「あなたの色が欲しかった」
誰にでも平等に見える人が実はこっそり恋をしている、というシチュエーションが書きたかった。たとえ自分に似合う色でなくとも、似合うようになりたいという健気さがありそうな審神者だなあ、と書いていて思った。
「月夜にヒールとエスコート」
原題「月にヒールとエスコート」。月だと三日月さんのイメージが強くなるので月夜に修正。ピクシブに上げたものからほんの少しだけ修正が入っている。
SS集の収録順を決めるにあたり、各話には12月から3月という時期を設定し、その時期ごとに並ぶようにした。その中で、この話は一番最後、春に近い時期でなければならない、となんとなく思ったので、最後から二番目になった。三月の終わり、ぬるい空気を切り裂く音、仕舞っていたものを取り出す緩やかな夜の話。
「ラストダンス」を聞きながら書いていたので、ぼんやりそんな描写が入っている。
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